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【印刷のおはなし】アウトライン?CMYK?デザイン作成の注意点を解説します![後編]

[前編] に引き続き、印刷データ作成の注意点をお伝えします。

今回は、「フォント」「線」「色」について解説しますので、データ作成にお役立てください。

 データ作成時のフォントの取り扱い方

デザインにかかせない「文字」。最近では様々なフォントが無料でダウンロードできるので、デザインの幅もぐっと広がり デザイナーにとってはうれしいかぎりです。

しかしデザインデータでトラブルが多いのも「文字」なのです。

フォントはパソコンごとに違う

Illustrator(イラストレーター)でデザインデータを作成する際、使えるフォントはパソコン自体にインストールされている、またはクラウド上のフォントが使えるようになっている必要があります。

このようにパソコンごとにフォントの環境が違うので、Illustrator(イラストレーター)のデータを制作したパソコン以外のパソコンで開いた場合「フォントがありません。」というエラーが出てしまいます。

フォントエラーの画像

フォントでよくあるトラブルと回避策

フォント関連のトラブルは様々なものがありますが、一番多いトラブルとしては上記でも記したように「フォントがない。」です。このトラブルを避けるために「フォントのアウトライン化」が必要となります。

フォントの形状はフォント側に情報があり、それをIllustrator(イラストレーター)が読み込んで表示している状態と言えます。
フォントのアウトライン化は、フォントの形状データをIllustrator(イラストレーター)のパスデータに変換する作業
、つまり、文字を図形化するということです。

フォントのアウトライン化を解説する画像

文字を選択して(もしくは全体を選択して)メニューの「書式」から「アウトラインを作成」を選ぶだけです。

しかし、ここに落とし穴があります。
文字に対して「効果」の処理を施している場合、「効果」の対象が「文字(テキスト)」なのか、「オブジェクト(パス)」なのかで結果が変わってしまう事があるのです。


わかりやすい例を挙げます。

「文字(テキスト)」に対して「塗り」の効果を追加して、その塗りに対して「効果」→「形状に変換」→「長方形」を適用します。すると、このような見え方になります。

フォントのアウトライン化を解説する画像

これをアウトライン化して「オブジェクト(パス)」に変換すると、

フォントのアウトライン化を解説する画像

このように、文字の後ろにある赤い長方形のカタチが変わってしまうのです。
これは、Illustrator(イラストレーター)が認識する図形が「文字(テキスト)」と「オブジェクト(パス)」で違うからです。
わかりやすい例を挙げますと、「アンダーバー」は「文字(テキスト)」の時は正方形のカタチで認識されますが「オブジェクト(パス)」に変換するとそのカタチそのもので認識されます。これにより適用する効果に差が出てしまうのです。

アウトライン化を説明する画像

これを避けるために、

「アピアランスを分割」→「アウトラインを作成」

この順番で処理するようにしてください。

アピアランスの分割とは、適用されている効果を対象物と効果に分けることです。

「文字(テキスト)」に対して効果が適用されている場合、先に「効果」だけを切り離して「図形化」してしまうことで、純粋に文字だけをアウトライン化することができるようになり、アウトライン前後での見た目の違いのずれが生じにくくなります。

アピアランスの分割を解説する画像

厳密に言うとこれでも結果が変わってしまう事があるのですが、多くの場合この順番でうまくいきます。

 

アウトライン前とアウトライン後の差を知りたい場合は、前と後それぞれでPDFを作成してそのPDF同士の差分を見れば、変わった箇所が明らかになりますので、チェック方法としてお勧めします。

線を知る

Illustrator(イラストレーター)は「0.0001pt」という細さの線も設定できますが、これを印刷で表現するのは不可能です。

印刷に適した線の太さは

印刷できる線の細さの限界は、印刷の方法や機種により異なりますが「0.1mm」を一つの基準にしてください。ポイントで表すと「0.2835pt」ですが、「0.3pt」で設定する方が多いようです。

線でよくあるトラブル

線に関わるトラブルは、おもに以下の2つが挙げられます。

見当ズレ

印刷はCMYKそれぞれの版をピタッと同じ位置に印刷する必要があります。この揃える作業を「見当合わせ」と言います。しかし、版の位置がズレる、気温や湿度の影響で用紙の伸び縮みが起こる、用紙の寸法が正しくない、といった理由で100%ピッタリと合わせることは困難で、どうしても少しのズレが出てしまいます。

線が細く、その細い線に様々な色が設定されている場合、この見当ずれが目立ってしまい、思った仕上がりとは違うものになってしまう場合があります。

また、線にCMYKの4色を掛け合わせるのも、見当ずれのリスクが高くなります。

印刷の見当ズレを解説する画像

薄い線のかすれ

印刷は「網点」で表現されます。網点と網点を重ねると「モアレ」と呼ばれる幾何学模様が出てしまいます。

網点を解説した画像

 

これを避けるためにCMYKの網点はそれぞれに角度を付けて、モアレを目立たないようにしています。

薄い線を表現する場合も網点で線を描くことになります。点を使って線を描くと角度によって見え方(濃さ)が変わってしまうことがあり、細い線が網点の角度とぴったり合ってしまった場合、消えてしまうこともあり得ます。

印刷のモアレを解説する画像

これを避けるためにも0.1mmより細い線を扱うのは避けたほうが無難です。

印刷の色について

データ上の色の濃さはIllustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)によって数値的にコントロールされますが、実際の印刷ではその通りにはなりません。

印刷の色はどうやって調整している?

インキと紙はデジタルの世界とは違い、温度や湿度など様々な外部要因で微妙な変化が起きてしまいます。このブレをなくすために事前に「色見本」を作成して、本番の印刷の時にはできる限り色見本に近づけるよう、印刷機の設定でCMYKそれぞれのインキ量を微調整する必要があります。

印刷を行っているイメージ画像

色に関するトラブル

色の代表的なトラブルを2つ紹介します。

 

現物と印刷の写真の色が違う

プロのカメラマンは商品の撮影をする際、環境光に影響されないようホワイトバランスの調整(写っている白色を本当の白色に近づける作業)等を細かく行います。しかし雰囲気を重視するようなロケ撮影の場合、環境の色に引っ張られて商品の色が変わってしまうことがあります。

その写真データを今度はデザインデータ上でRGBからCMYKに変換します。この変換テーブルによってさらに色は変化します。

最後に印刷時の色の変化を合わせると、最終的に現物とはかけ離れた色になってしまう場合があります。

色変換による色の変化を解説した画像

「CMYKに関わるトラブル」でもご紹介しましたが、インキで100%正確な写真の色を再現することは不可能です。できる限り現物に近い状態を追求するなら、現物を見ながらPhotoshop(フォトショップ)で写真データの数値を微調整をして色校正を行い、きちんとした色見本を完成させることが重要となります。

薄い色の変化

CMYKのかけ合わせで作った「淡い色」は変化が起こりやすくなります。

モニター上で表現できたとしても印刷機で表現できる網点は、細い線が印刷できないのと同様に限界があります。

「5%」以下の網点は印刷する機種によるブレが多くなり、「3%」以下の網点は機種によっては再現できないことがある、と思ったほうが無難です。

薄い色の変化を解説した画像

また、紙の上にインキを乗せると若干の広がりが発生して、数値で指定した網点より若干太くなってしまいます。これをドットゲインと言います。ドットゲインの幅は温度・湿度・紙質・印刷手法によって左右されます。

ドットゲインを説明する画像

このようにIllustrator(イラストレーター)上の数値と、紙とインキでの表現には乖離があり、各色の数値が小さければ小さいほどズレが目立つことになります。例えばIllustrator(イラストレーター)上で「C1%+M2%+Y3%」という色を設定した場合、C1%=網点が表現できずに0%、M2%・Y3%=ドットゲインで太ってしまいM2.5%・Y3.5%に。そうなるとモニター上の色(数値での色)と印刷の色とで以下のような差が生まれます。(モニターにより若干見た目が異なります。)

ドットゲインを説明する画像

濃い色の場合、例えばIllustrator(イラストレーター)上で「C20%+M40%+Y60%」を設定した場合、1%ズレて「C21%+M41%+Y61%」になったとしても、それほど影響は出ません。

ドットゲインを説明する画像

このように淡い色のかけ合わせには注意が必要です。

まとめ

印刷に関わる注意点は、細かいところを含めるときりがないほど出てきますが、大まかな注意点としては以上となります。ご理解いただけたでしょうか?

ソフトでできることと現実とは違う

Illustrator(イラストレーター)は数値で管理されていますが、印刷の場合は物理的な限界があるので、どうしてもデータとの差が出てしまいます。しかし、どこにズレが出やすいかを理解しているだけでもミスや想定外の結果を回避できるかと思います。

名入れスタイルへの入稿時の注意点

名入れスタイルでは、入稿用のIllustrator(イラストレーター)のテンプレートが各商品で用意されています。そこに記載されている【注意点】「データ入稿について」  をご覧になった上で、今回の記事の内容を踏まえつつデータ作成・入稿いただけるとスムーズです。



[前編]印刷の「ソフト」「CMYK・RGB」「解像度」についての解説はこちら からどうぞ

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